「プロ」になろう

 PIとは、自分の役割をきっちり果たすことであったが、これは言い換えると、「プロフェッショナルになれ」ということである。

 アメリカ大統領であったJ.F.ケネディは、合衆国国民に対し、『合衆国があなたのために 何をしてくれるのかを 問うのではなく あなたが合衆国のために 何ができるのかを 問いたまえ』と訴えたという話は有名であるが、PIの基本的な考え方の2つ目は、「自分は何ができるのか」を常に自分自身に問いかけるということである。

 

 「会社が何をしてくれるのかを問う前に、自分が会社に対して何ができるのか」を問うべきである。「自分が会社に対して、期待通りの役割をきっちり果たしているのか、どう会社に貢献していくのか」またそれを通して社会にどう役立っていくのか、を考えていくことが必要である。「これで自分は会社に、社会に貢献していく」というものを身につけて、さらに環境の変化、役割の変化に応じて、その幅を広げたり、レベルを上げていくことが大切である。それが「プロフェッショナル」ということであろう。

 

 「プロフェッショナル」とは、高いレベルの能力を持ち、いまなにをすべきかを、誰に言われなくても認識し、それをタイミングよく発揮できる人である。高い能力を持っていても、人から言われないとできない人や、ここぞという肝心な時にそれを発揮できない人は、本当の意味で「プロフェッショナル」とは言い難い。

 因みに、アマチュアというのは、指示されるまで動かない・動けない人、指示されたことだけする人、指示されたことしかできない人のことを言う。いわゆる「指示待ち人間」と言われている人たちである。

 

 魅力ある人になるためには、「プロ」にならなくてはならない。「プロ」とは、自分の役割(使命、なすべきこと)をしっかり自覚し、それを立派に果たす人のことを言う。

 「プロ」としてその役割を立派に果たすことを「ハタラク」(傍を楽にする)と言い、その行動基準を「~シップ(~ship)」という。日本語では「~道」という。ジェントルマンシップ、スポーツマンシップ、リーダーシップというは、社会人として、スポーツマンとして、リーダーとしてそれぞれの役割を立派に果たすための道である。武士道、剣道、茶道、華道等みな同じである。

 

 ここで特に注意しておきたいのは、役割を立派に果たすためには「自分の役割をしっかりと自覚する」ということが重要である、ということである。自分勝手の思い込みで、自分はしっかりやっていると思っているが、周囲の人からすると、全然、ということが至る所で見られるからである。ある調査によると、「上司が自分のマネジメントに自信あり」と答えた割合が約70%に対し、「上司のマネジメントに満足している部下」は38%しかなかったという。このような上司の役割自覚と部下の役割期待とギャップが、不平不満や失望、怒りにつながってい行くのである。企業が市場や消費者のニーズに合わないものを作って、こんないいものを買わないのは消費者が悪い、と言っているのも同じである。

 

 部下や消費者が「何を期待しているのか」をしっかりと自覚したうえで、自らの役割を果たすべく行動することが「プロ」である。