態度~心の姿勢

パーソナリティの表層部分

 パーソナリティの中心部分で、心の内面に隠されている気質や性格に対し、それらの影響を受けながら、その時その時の状況に応じた行動や考え方として表面に現れるのが態度です。

 この態度には、遺伝や幼児体験で形成された気質や性格と深く結びついて、その人独自の心構えや心理的な身構えとなり、それが習慣やクセとなった、いわゆる心の姿勢としての部分と、言葉遣いや礼儀作法といった後々身に着けた、表面的な、周囲からの刺激に対する反応の傾向としての部分、といったものまで含まれます。

 態度は、相手や対象によって変わります。相手が変われば身構えも変わります。たとえば、上司や先輩と同期や後輩とでは当然態度が変わります。

 

 また態度には、好き、嫌いといった感情面、良い、悪いとか賛成、反対といった評価面、やる、やらないといった行動面の3つの側面があります。

態度の改善で人生が変わる

図4 態度と行動変化
図4 態度と行動変化

 態度は、これまで生きてきた中で、直接、間接に重ねてきた経験によって、後天的に形成されたパーソナリティです。一旦身についた態度は、比較的持続して安定的ですが、決して不変ではありません。状況や条件によって変化もすれば、また意思や目的によって変えることも可能です。

 この変化には個人差があり、遺伝的に受け継いだ気質や3歳位までに刻み込まれた狭義の性格と深く結びついた無意識の部分の程度によって異なってきます。特に、狭義の性格の部分が、非建設的であればあるほど変わりにくいものです。

 

 それでは、3歳くらいまでに身についてしまったものは、一生そのままで変えることができないのでしょうか。もしそうであれば、人生そのものがその時点で決まってしまうことになり、もっとよくしようとか、改めようといった努力は全く意味がないものになってしまいます。気質は、両親からの遺伝によって決まっています。背の高低とか目の色、顔だちなどは変えられません。いわば「宿命」といえます。しかし、狭義の性格の部分は「運命」といってもよく、簡単ではありませんが、自分の努力次第で変えることもできるのです。不幸にして、間違った基本的構え、信念(イラショナル・ビリーフ)を身に着けてしまった人であっても、いい人との出会い、いい本との出会いや自己啓発による新たな知識や体験を通して、非建設的な基本的構えの歪みに気づき、物の見方、考え方を変えることで、新たな態度、能力を高めることによって、これからの人生をよりよいものに、より豊かなものに、変えることができるのです。(図‐4 )

← (4) 性格 へ戻る    (5) 態度~心の姿勢    (6) 役割行動 へ進む →